20年前のソフトなのでネタバレ気にせず書きますが、気になる方はご注意ください。
ほぼ音声データから個人の解釈を元に書き起こしたものなので、多少Wikipediaの内容とは差異があり、公式設定とも違う点があるかもしれませんがご容赦ください。一部記憶違いや推測による補正もあると思います。
設定・内容
登場人物
主要人物
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岩倉玲音(声:清水香里)
自分の身に感じる不可解な現象に悩む少女。初登場時の学年は小学6年生、柊子によるカウンセリングを受けるようになる。
終盤には中学3年生まで成長。ただし記録に不整合な点が多く断定はできない。ファザコン。
好物は公式にはシリアルという設定。作中ではカップ麺やカ◯リーメイトを買い込む描写がある。(食に無関心)-
レイン
玲音が悩む幻覚であり、玲音がときどき見せる別の人格でもある。レインと関わる人物は多くが肉体を捨てる(ワイヤードでずっと一緒になる様子も)。終盤に玲音がネット上にコピーした自己の人格もレインといえるかもしれない。(考え方は諸説あり)
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レイン
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米良柊子(声:岡本麻弥)
心理学者。玲音とはカウンセラーとして接する。
日記での初登場時は26歳。誕生日は1月上旬と推定される。
玲音の人間関係
- お父さん 玲音に好かれていて、PCなどを買い与えたり優しい存在。しかし次第に妻と喧嘩するようになり家を出ていく。離婚をして消息不明になる。
- お母さん 父親ほど玲音に懐かれてはいない(柊子は警戒心と評す)が、一緒にクッキーを焼いたり関係は悪くない。しかし夫と離婚後は玲音とも家族の関係は壊れていく。
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今日子(声:水野愛日)
小学生時代の玲音の友人。トモくんに好意を抱くが、引っ越ししてしまったトモくんから玲音だけに手紙が届いたことによる嫉妬により疎遠になる。声はアニメ版の加藤樹莉と同じ人。
中学2年で再び同じクラスになる。 - トモくん 小学生時代の玲音の友人。小学6年の後半に転校。
- カミヤ先生 小学校時代の担任。
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美里
中学に入ってからの玲音の友人。おとなしい性格だが多才でバイオリンや絵が得意。しかし絵の盗作疑惑など不可解な点がある。柊子が調べた限りでは存在が認められず、玲音のイマジナリーフレンドの可能性も高い。中学1年の後半に引っ越しして以後消息不明。
ゲーム中でビジュアルの存在は1点確認できるが、音声データは一切存在しない。 - カザミ先生 中学校の美術の先生。
- カオリ 玲音の中学2年時のクラスメイト。柊子から玲音の調査のための聞き込みを受ける。美里の存在を信じない柊子への仕返しの可能性もあるが、玲音はカオリのことを知らないと話す。
柊子の人間関係
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タケシ(二股クソ野郎)
アメリカにいるときに付き合い始めた柊子の恋人だが、日本に帰国後は忙しさからほとんど連絡を取らなくなる。
柊子とはっきり別れることもせず、他の女性と結婚する。その後、柊子とバッタリ会った際には、「やあ、元気そうだね」と何事もなかったように話しかけるクズ。 -
ヨシダ(健康器具)
玲音が中学2年の年の春に橘総合研究所に出入りするようになった医療器メーカーの新人。柊子と仲良くなりサンプルの健康器具RMLを渡す。
徐々に柊子と親密になり、食事をしたり指輪を渡すなどして、タケシの件で傷ついた柊子の精神的な支えとなるが、実際は橘の研究員たちと一緒に柊子を笑いものにしていた。 - タカシマ教授 柊子の上司、ハゲ(ただの悪口か)、柊子が酔って死を願う日記を記録するほどの人物。後に自殺により本当に死ぬ。
- ハルミ 柊子の旧友(柊子が帰国して約1年後の9月に結婚式をあげる)。
- カナコ 柊子の旧友。あだ名はカナッペ。
玲音のネット関係の知り合い
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牧野慎二(声:渋谷茂)
玲音とネット上で交流を持つ。お父さん製造に必要なパーツ購入の仲介をしてくれる。最終的に発狂して死亡。
29歳。会社員。家電メーカー勤め。自宅住所は品川区上大崎30-19-105目黒レジデンス504。(さすがに30丁目は存在しない)※音声では牧野慎二と呼ばれているが、Wikipediaには牧野慎一郎と記述されている。 - ウサギさん ネット上の知り合い。仲良くしていたが、玲音の日記をばらまいたり、グロメールを送り付けたり嫌がらせをしている本人の可能性あり(?)。
その他
- 橘総合研究所所長 柊子の死後、研究所から2名の自殺者が出たことを問われ記者会見を行う。会見では橘グループと話す声が記録されている。
- 刑事 玲音と牧野が会っていたときに発生した事件の捜査をする。牧野の死に方に驚かないことから同様の死者が多数発生していると推測できる。
- ペルソナ ワイヤードに漂うデータを再生してくれるインターフェイスとして存在。各種データ内に登場する玲音(レイン)と姿はそっくりだが別存在。人格はない(?)が表情は豊か。
時系列
シナリオ上、記録の改ざんやまともじゃない記録が混ざっているので時系列に矛盾が生じて正確な記録は難しいかもしれない。大まかな流れを記録しておくに留める。
月に関しては、正確性は低いので、ある程度曖昧であることをご留意いただきたい。
具体的な西暦は不明なので、玲音の学年を基準に年度区切りで整理していく。
小学4年生時
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玲音
未登場
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柊子(26歳)
アメリカでの生活、最初の日記はサマーバケーション(7月頃)。恋人のタケシとは順調な頃。
誕生日は1月、27歳になる。
タケシは1月頃一足先に日本に帰国。
柊子は3月卒業後に日本に帰国。日本に帰るのは5年ぶり。
小学5年生時
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玲音
未登場
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柊子(27歳)
4月からタケシと同じ橘総合研究所に所属するが忙しさと部署が違うためかすれ違い気味。
日本の研究所の環境に馴染めず、タケシとのことも噂されて辟易。
旧友のハルミから翌年9月に結婚予定と報告を受ける。
カウンセリングの認定試験を受けて合格。
半年以上経ってもクランケをつけてもらえず、結局就任1年目が終わる。
小学6年生時
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玲音と柊子共通の出来事
6月 カウンセリング開始、これから毎月1回定期的に行われる。挨拶の言葉が毎回「おはよう」なので、毎月第2土曜日か日曜日にカウンセリングだったのではないかと推測。
11月 6回目のカウンセリング時に日記の宿題。
12月 柊子が玲音の体験を空想と決めつけ信頼関係が崩れる、日記中断。
1月 お互いに謝罪があり信頼関係の回復、玲音から柊子に手作り紅茶クッキーを誕生日プレゼント、日記の再開。
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玲音
11月or1月(日記データ順とセリフが合わない点があり月の特定は困難)
今日子と買い物に出かけ、化粧やアクセサリについて会話。
お父さんにNAVIを買ってもらう。
風邪が長引き、今日子ちゃんにお見舞いに来てもらう。
トモくんの転校。
トモくんから手紙が来て、そのことで今日子と疎遠になる。
1月
いじめに遭い不登校になる。
3月
NAVIにレインという名前をつける。
パソコン通信などネットにハマる。
卒業式も欠席。
いたずらで残酷な内容のメールが送られてくるも、犯人を自力で追跡して仕返し。(犯人の個人情報をばら撒く)
しかし逆に日記をネットに公開されてしまう。
ウサギさんといたずら主が知り合い。
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柊子(28歳)
6月 タケシと日本での初デート、××××する。(自主規制)
7月~ タケシに浮気の影が見え始める。
ハルミの結婚式。
カナコと5年ぶりに再会。
1月 タケシに誕生日の予定をキャンセルされる、初詣は小吉。
誕生日は教えていないはずの玲音からプレゼントに紅茶のクッキーをもらう。
しかし、1月のカウンセリングで「本当は日記つけてなかった」と告白していることから、時系列に混乱が見られる。(もしくは読解が間違っているか)
中学1年生時
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玲音
4月~ 美里ちゃんと仲良くなる。
美里ちゃんと一緒に美術部に入部。
ウサギさんの名前でいたずらメールが届くことをきっかけにメールを一旦止める。
アレはまだきてない。
新しいNAVIを買ってもらったり、ますますNAVIに詳しくなっていく。
美里ちゃんとは長電話する仲だが、メールもしたいと誘うと断られてしまう。
メールをやめてからアレを見ることがなくなる。
帰り道に建築現場から鉄骨が降ってきて人が死ぬ事故を目撃する。(ムービーあり)
11月~ 文化祭で美里ちゃんが賞をとるも、盗作の疑惑が浮かぶ。
美里ちゃんが引っ越してしまう。
両親が大喧嘩。
再び学校を休みがちになる。
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柊子(29歳)
玲音の調子がどんどん良くなってきて報告書に上げる内容がなくなってくる。
タケシとの関係がうまく行かず行き詰まる。
秋の学会に向けて玲音の担当を外してもらい、別のクライアントを申請する。(なしのつぶて)
辞表を出すことを考える。(その後日記がしばらく途絶えるもやめた様子はない)
中学2年生時
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玲音
4月~ 今日子ちゃんと再び同じクラスになり死にたくなる。
両親の不和、父親が家に帰らなくなる。
再び記憶が途切れたり、症状が現れ始める。
9~10月頃? 休学届けを出し不登校になる。
両親が離婚する。
11月頃 「お父さん」を造り始める。
この頃、すでにハッキングでお金には困らなくなる。
牧野慎二と会い取引をする。
お父さんを拡張していき部屋に置けなくなり廃工場を借りる。
電源・専用線の工事はお金を払い代理人を立てて行う。(代理人は口封じに殺された可能性あり)
12月~ お父さんを工場に移す。
中学1年の時のクラスメイトとすれ違う。(ムービーあり)
柊子がおかしくなっていることを気にする様子はない。
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柊子(30歳)
4月 ヨシダと出会い仲良くなる。
タケシが他の女性と付き合っていることがすでに噂になっているが、柊子自信は気づかない。
ヨシダに健康器具をもらう。
5月頃 タカシマ教授が亡くなる。
6月 タケシが他の女性と結婚すると知る。
8月 玲音のことを改めて調べようと考える。
9月 カウンセリング時に玲音の友人関係を確認。
カウンセリング後、玲音のクラスメイトの今日子、カオリに家庭教師と偽り調査。
ミサトの存在を疑う。
10月 ミサトが実在しないことを玲音に問い詰める。
11月~ ミサトへの追求は諦めて距離をとってカウンセリングをする方針に。
レインの影響か、健康器具RMLの効果か徐々に精神が不安定になる。タケシと遭遇して笑い声を上げる。
2月 カウンセリング中「本当に玲音なの?」と尋ねる様子も。
吉田くんに指輪をもらう。
3月 カウンセリングの関係が逆転し、カルテがレインに乗っ取られる。
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その他
2月7日 牧野が刑事から取り調べを受ける。
中学3年生時
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玲音と柊子共通の出来事
4~8月 カウンセリングの立場は完全に逆転し、柊子の精神は回を重ねる毎に崩壊していく。
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玲音
年齢としては中学3年になるが、実際にはもう学校へは通っていない。
目が覚めると何故か拳銃を握っている。(牧野と遭遇した事件とは時期がずれているので、誰かを殺害している可能性もある)
母親も行方不明になる。
自分のコピーをネット上に作る。
お父さんを破壊。
牧野と遭遇した時に拾った拳銃により肉体を捨てる。
最終シーンの服装が半袖短パンなことから、季節は暖かい時期。(カウンセリングの回数から8月頃と推測される)
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柊子(31歳)
5月頃 タカシマ教授の一周忌にお墓参り。
以降、レイン及びRMLによる精神崩壊が進み正常さを失う。
ヨシダにも裏切られ、いよいよ精神が限界に近づく。
玲音の生まれたときからのデータを見つける。
しかし別のムービーファイルでは、2年前にデータを入力、最終更新日が2年後の未来、3年前以前のデータが存在しない、などいろいろ不可解な点がみられる。
レインと相対した後、PCのモニターに頭を突っ込み自殺。
死亡後は玲音とワイヤードで一緒になった様子。
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その他
牧野が刑事から再び取り調べを受けるも、その場で発狂して死亡。
後日談、橘総合研究所より研究員2名の自殺について記者会見が開かれる。
以上、なんとなくこんな感じの時系列だったかもしれない程度にご覧いただければ幸いです。
死亡者
レインと関わったことにより死んだ人物
・玲音
・柊子
・牧野
・タカシマ教授
・女子高生(女子高生による中年銃殺事件)
関わったのか関係ないのか不明な人物
・中年(女子高生による中年銃殺事件)
・ホテルらしきところで頭を撃ち抜かれた男性(ムービーより)
・ゴミ捨て場に捨てられた腕(ムービーより)
レインと関係ない死亡者
・建築現場の鉄骨落下事故の犠牲者
生きているか不明な人物
・お父さん
・工場の回線工事の代理人(上記ムービー内の死者のどちらかの可能性あり?)
楽しみ方
当ソフトのジャンルは「アタッチメントソフトウェア」。わかり易い表現だとボイスノベルといったところ。
攻略するというよりは、玲音と柊子さんに起きた出来事を追うために、ひたすら日記やカルテなどの記録を聞くことしかできない。
純粋に小説を読むように、穏やかな気持で耳を傾けるのが良い。
声優について
声優に関しても触れておくと、玲音役は声優デビュー当時の清水香里さん(当時14歳?)と柊子役の岡本麻弥さん。
清水香里さんの声は、安倍吉俊先生の絵と相まって惹き込まれる声。玲音という一人のキャラクターであるにもかかわらず、いろんな人格(アニメ版ゲーム版含めて多彩な玲音レインlainれいん…)を演じる必要があり、且つこの理解が難しいセリフをワケも分からず収録していたと思うと・・・。2018年7月7日に開催されたクラブサイベリアでも収録後に吐いたことがあるとこぼれ話があったほど。
岡本麻弥さんは機動戦艦ナデシコのハルカ・ミナト役をされていた方、といえばlain視聴者層にわかりやすいかもしれない。個人的には大人っぽい女性のセクシーな声という印象。
当ゲームは声優さんの声が心地よくて、ずっと聞いていて飽きないので、内容が難解でも大して問題なく感じる。(個人の感想)
また今日子役の水野愛日さんは加藤樹莉として、牧野役の渋谷茂さんは声だけだが玲音に情報を提供する役として、アニメ版でも出演している。
シナリオについて
よくネットなどでは「内容がよくわからない」という感想を目にするが、明確な答えがある物語ではなく、わからないように作られているシナリオだと思っているのでそれぞれ解釈するしかない。
結末は、玲音が肉体を捨てること。柊子さんも肉体を捨てること。最終的に二人共ワイヤードに遍在すること。それだけで十分だと思ってる。
美里ちゃんは実在していたのかとか、牧野氏を始め玲音と関わった人間がなぜ死ぬことになるのかなどは明確にされていない。
個人的には、脚本がJホラーも手がける小中千昭先生によるものなので、富江や貞子など(両方とも小中先生によるものではないが)そういった理解不能な恐怖的存在を表現しようとする意志が根底にあったのかもしれない、程度に思っている。
ソフトウェアとしての性質
こちらのサイトに興味深いことが書かれている。
serial experiments lain – ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~ – アットウィキ
肉体を捨てた玲音と柊子はプレイヤーの脳内に存在するようになったのだ。
これまでプレイヤーは玲音と柊子の様々な行動と思考を見てきた。つまり、思考パターンやその存在、そして彼女らの持つ人の存在に関するロジックを記憶してしまったのだ。このゲームの理論では、この状態では人は存在するに足る。プレイヤーは脳内に玲音と柊子という存在を構築してしまい、玲音と柊子の事を完全に忘却するまでは「ずっといっしょ」になるのだ。
こう考えると、玲音と柊子はプレイヤーの数だけ遍在する存在になったと言える。
当ゲームのジャンルであるアタッチメントソフトウェアのattachmentは、「取り付ける」や「付属物」という意味の他に「愛情」という意味も含まれるようだ。アタッチメントがどの意味を指しているのかを考えると・・・玲音を好きになりましょう玲音を好きになりましょう玲音を好きになりましょう玲音を好きになりましょう・・・(アニメ版と混同)
当ソフトの効果的な用法
PSのゲームソフトとして考えたら完全な邪道だが、上記の「ソフトウェアとしての性質」を考えると、以下のような方法で今後ずっと楽しんでいただくのをおすすめする。
当ソフトには、一部ムービー背景音のノイズや両ディスクのダブリもあるが、Disc1、Disc2をあわせて700以上の音声ファイルが存在している。クリア後に出てくる玲音・柊子の語りかけボイスだけでも181ファイルある。
音声データを吸い出して音楽プレイヤーなどに入れておくといつでも玲音や柊子さんの声を聞くことができる。
あとは普段お使いの音楽プレイヤーの中に入れておき全曲シャッフル再生すると・・・曲の合間合間に玲音、柊子さんが語りかけてきて、サブリミナル効果のように脳内に2人の存在が構築されていき、正に「ずっといっしょ」になれるだろう。
頭おかしい?
自覚はあります。
コメント
天才ですね
年月ごとにまとめたやつすっごい分かりやすい
ある意味邪悪なゲームだよコレは(褒め言葉)
プレイしててため息しか出ないし、嫌でも話に取り込まれちゃうし、クリア後には必ず数日寝込むし、作中の鬱な雰囲気の虜になってるし。
アニメ版もそうだけど、頭から離れなくなるし..
これが「ずっといっしょ」ってコトなのかぁァァァー