こちらはserial experiments lainアドベントカレンダー参加記事です。
ちょっと不穏なデザインですが、serial experiments lainの画集内の漫画に登場する、ぬいぐるみのビケちゃん(岩倉玲音が命を吹き込もうと機械を組み込み改造した姿)を再現しました。
商品名は「ビケちゃん(改造)Tシャツ」の表記にしています。実際の販売ページはこちら
記事の最後にプレゼント企画の案内もあるので、よろしければそちらへもご参加ください。
目次
- はじまり
- 制作のレポート
- 販売するまでのレポート
- 購入いただいた方にお届けできて・・・
- クラブサイベリア Layer:03にて
- 2枚だけ作った限定カラーTシャツの行方について
- ビケちゃん(改造)Tシャツ プレゼント企画
- さいごに(初めて二次創作グッズを作って販売してみて、今回の教訓)
はじまり
事の始まりは、今年7月に発表されたlainTTL(serial experiments lainという作品の二次創作に関する利用ガイドライン)です。
lainTTLについては、以前に記事に書きましたのでそちらもご覧ください。
思えば昨年7月のクラブサイベリア以降、イラスト(落書き)や、橘総研Webサイト、玲音の携帯NAVI、掌編小説、Botゲーム、アイシングクッキーなど、多くは張りぼてのようなレベルですがいろいろ作ってきました。
それらはもちろん、lainに対する愛から個人の趣味として作っていただけで、二次創作を実際に販売することを考えたことはありませんでしたが、今回lainTTLが発表されて公式に二次創作の許可が下りたことで、これまで通り趣味で自分のためだけに作るのではなく、何らかの頒布できるものを作れたらいいなと漠然と考えていきました。
制作のレポート
Tシャツ制作のきっかけ
lainTTL発表直後から、多くのファンがTwitterなどでlainのファンアートイラストをアップするなど、さらに盛り上がっていました。
そしてTシャツやスマホケースなど、イラストを印刷してグッズにしたものも次々と発表されていました。
様々な玲音のイラストのTシャツが公開される中で、個人的に抱えていた思いがありました。
「確かに可愛くて欲しいものばかりだけど、普段職場や非オタ友達にはlain好きなのを公言していないし、いい歳したおじさんなので女の子(玲音)のイラストを着て街を歩くのもちょっと恥ずかしい。」
だったら、lainファンには伝わるけど、lainを知らない人にはただのちょっとデザインされたTシャツにしか見えないような、そんなデザインのTシャツがあるといいなと思ったのがきっかけです。
そして、思い付きのイメージを作って、こんなツイートをしてみました。
#lainTTL Tシャツ作られている方も何人かいて嬉しいけど、顔の入った服着れないオタクだから、こんなデザインなら普段着に使えそうというのを考えてみた
1_CoplandOS販促T風
2_みんな大好きぐーるぐる
3_realworld>wired
4_適当にノイズ pic.twitter.com/BAvWANBoUs— くろぐろ (@96kuroguro) July 19, 2019
この時、思っていたより「いいね」をいただけたので、自分も何かしらlainモチーフのTシャツ欲しいし何か自分で考えてみようかなと思って、自身としては初の二次創作グッズであるTシャツ制作がはじまりました。
印刷方式を考える
最初は、前述のツイートのぐるぐる玲音か橘総研のロゴをあしらったデザインにしようかなと思ったのですが、Tシャツを作った経験はないので、まずは印刷業者さんに頼んだ際にどれくらい費用がかかるのか一度調べてみました。
(自作する方法をアドバイスいただいたりもしたのですが、家の中で作業スペースを確保するのが難しかったり、仮に販売する場合にきれいにプリントできる自信がなかったので、専門業者に依頼する方向ですすめました)
印刷方式の候補は大きく2つ。インクジェット印刷とシルクスクリーン印刷。
インクジェット印刷は専用のプリンターで一枚一枚インクを吹き付けていく方法。単色でもフルカラーでも料金に違いがほとんど無く、1枚でも100枚でも実質的な単体コストはほとんど変わりません。
シルクスクリーン印刷は、まず型を作ってそこに単色のインクを載せていく方法。型の料金と印刷料金が別れていて、大量生産する場合には単体コストが下がるのが特徴です。基本的には単色印刷で、複数の色を使う場合は型も複数作る必要があります。
これは個人的な好みですが、インクジェットのプリントよりもシルクスクリーンの方が色がはっきり出て、洗濯などにも強く印刷部分がかすれにくいらしいとの情報を見かけて、今回はできればシルクスクリーンで作りたいと考えていました。
とはいえ、他にだれも買う人がいないのにシルクスクリーンで作るのは得策ではないので、事前にアンケートを取って、一定数ほしいと言ってくれる人がいればシルクスクリーン、いなければインクジェットで受注生産にしようと考えました。
ビケちゃん(改造)デザインができるまで
アンケートを取るには完成イメージが必要と考え、デザインに着手します。
現時点では、インクジェットかシルクスクリーンか決まっていないので、まずはどちらの印刷方法でも可能な前面中央一箇所の範囲で考えました。
そうすると、前述のぐるぐる玲音や橘総研ロゴデザインは印刷範囲を超えていたり袖口印刷があったりして除外せざるを得ず、新たにlainモチーフのデザインを考える必要がありました。
ただでさえlainファンだけにしかニーズのない二次創作デザインで、ましてや自分はカリスマのあるデザイナーでもないので、ある程度万人に良いと思ってもらえないと厳しい。
クール系にしようか、カワイイ系にしようか。。
そこで世の中で人気のデザインのTシャツって何だろうと考えたときに思い浮かんだのが、某アタマを持ち上げたクマのTシャツ、
街を歩いているとときどき見かけるくらいには流行っているデザインだと思います。
可愛い外見にちょっぴりダークな要素と、lainに通じるインスピレーションが湧いた瞬間でした。
ちょうどlainにはぬいぐるみのビケちゃんがいるので、画集を引っ張り出してビジュアルを改めて確認、ビケちゃんのイメージをどんなデザインに落とし込むか考えます。
ノーマルビケちゃんも可愛いのですが、可愛いに振り切るなら他にももっとかわいいイラストを描ける方もたくさんいると思い、それ以外でぱっと思いついた候補は以下の二つ、
- ハサミで背中を切られているビケちゃん
- 玲音に改造された後のビケちゃん
最終的に、ライトなダーク感とlain的なケーブル要素を選んで、改造ビケちゃんに決めました。
デザインは、まずは鉛筆でラフを作成しました。
……ひどい絵
最近デジタル描き(スマホ)に慣れていて、鉛筆描きだといい感じにならないので、スマホで再度ラフ
……ちょっといいんじゃないかな
とイメージが固まったところで、パスデータにするためイラレでぐりぐりと作成。
イラレはそんなに使い方に慣れていないので、検索してよくわからない機能を適当に使ったりしながら頑張って作ってみました。
Twitterでのアンケート
デザインができたので、印刷方式を決めるためにもどれくらい反応があるかTwitterでアンケートを取ってみました。
結果はこちら
日常的に着ていただけるように、洗っても色落ちしにくいシルクスクリーン印刷で考えています。
白と黒の2種、BOOTHでの販売予定。価格は未定ですが他の方の白Tよりは少し高くなってしまうかも。
希望が少ない場合はインクジェット印刷の受注生産にすると思います。
ご協力よろしくお願いします!— くろぐろ (@96kuroguro) August 3, 2019
10~20程度だったら、インクジェット印刷での受注生産にしようかと思っていましたが、思ったより反応をいただけて、両方と答えていただけた方を含めると白黒あわせて30の結果となりました。
良くも悪くもアンケートなので、そんなに当てにはできないと念頭に置いていましたが、ある程度の人数に欲しいと思ってもらえるものと自信をもって、今回はシルクスクリーン印刷で作成することにしました。
色はどっちかに偏ると思っていましたが思いのほか真っ二つ。偏ってくれれば多いほうの1色をと思いましたが、白黒15ずつの完全同数でしたので、どちらかというわけにもいかず白黒2色作成することに決めました。
そして発注へ
シルクスクリーン印刷で作成すると決めたはいいのですが、枚数が少なすぎても1枚当たりの原価が上がってしまうし、多すぎたら在庫を抱えることになってしまう。
また、アンケートで欲しいと回答してくれた方に対して、サイズが全然なくてお届けできないのも悲しいので、いろいろ考えつつ、とりあえず原価がいくらぐらいになるかを想定しないと販売価格も決められないので、暫定で枚数を決めました。
これで1枚も売れなかったら死んでしまう(そんな無茶はしてないよ)と思い、事前ご購入のご予約募集を経て、腹をくくって発注しました。
その際、自分用のつもりで、1枚ずつだけネイビーとオリーブの白黒以外のカラーを発注してみました。(が、実際には自分で袖を通すことはなく、、、この2枚だけの限定カラーの行方については後ほど)
販売するまでのレポート
BOOTHへ商品登録
商品のスペックは発注時点ですでに確定しているので、商品が出来上がるまでの間に販売準備を進めていきます。
今回はBOOTHで販売することにしました。
BOOTHを採用したのは、Twitterで見てる限りlain界隈ではBOOTHを利用している人が多いようだったので、購入していただくのに抵抗が少ないかなという理由からでした。(あのクラブサイベリアのファンアートブックBREAK THE BORDERがBOOTHで頒布していたのが大きかったです。)
BOOTHのアカウントを作って商品情報を登録、そして発注数をもとに色・サイズごとに在庫数を入力します。さらに商品到着後に速やかにBOOTH倉庫に発送できるように、発送代行・倉庫サービス用のラベルを印刷するなどして商品の到着を待ちました。
商品の到着~梱包作業
商品が届いて開封したら、まず自分の作ったデザインのTシャツが大量に段ボールに入っていることに感動しました。
発注していたTシャツ届きました~ #lainTTL
ビケちゃんを着れるのは今のところここだけ笑
BOOTHでの販売に向けて準備進めます!#serialexperimentslain pic.twitter.com/LJ2uCjlkBY— くろぐろ (@96kuroguro) August 31, 2019
気持ち的には部屋に大量にバラまいて、ヒャッハー!!とはしゃぎたい気分でしたが、ご購入いただいた方にお届けする大切な商品なので自重しました。(当たり前)
袋詰めはTシャツの印刷してくれたところでお願いもできたのですが、販売価格を少しでも抑えるためと、メッセージカードを一緒に同封したかったので、一枚一枚自分で丁寧に個包装しています。
事前購入申し込みいただいた方用に個別にサイズを指定してパックした以外は、色・サイズごとにまとめて、BOOTHの発送代行・倉庫サービスの利用方法に則って粛々と梱包して、届いた翌日には倉庫へ向けて発送しました。
BOOTHに在庫反映されるまで
BOOTHへ発送したビケちゃんTシャツは、問題なく届き9月2日には到着メールが届きました。
BOOTHの倉庫に在庫が反映されるまで、案内では7~16営業日とされていたので、日数を数えると最短で9月11日、最長でも9月26日までには反映されると思って待っていましたが、結果として在庫反映されたのは16営業日から2日遅い9月28日でした。
冷静に考えれば2日遅れただけですが、半袖Tシャツという夏物商品のため、できるだけ早くお届けしたかったので、まだかまだかとやきもきしていました。
BOOTH倉庫からなかなか入荷連絡こない…不安になるから早くして……
— くろぐろ (@96kuroguro) September 20, 2019
BOOTHが音沙汰ない。明日で荷物届いてから16営業日…頼むぞ……
— くろぐろ (@96kuroguro) September 25, 2019
ぎゃーーTシャツ入荷通知来た!!土曜日にくると思ってなかった。
後でちゃんと告知します~— くろぐろ (@96kuroguro) September 28, 2019
購入いただいた方にお届けできて・・・
ともかく、無事商品が在庫反映されて販売することができました。
事前購入を申し込んでくれた方は、すぐにご購入手続きしていただけて本当にありがたかったです。
Twitterにも届いた商品写真を上げていただけたりもして感謝の言葉もありません。
あまり感情が表に出ない性格ですが、このアップしていただいたツイートを見たときは小躍りしてしまいました。。。すみません、小躍りはウソですが、内心は飛んで喜んでましたし、本当に感謝しています。
クラブサイベリア Layer:03にて
11月16日に開催されたクラブサイベリア Layer:03ではもちろん、自分の作ったビケちゃんTシャツを着て参加しました。
さらにTwitterでのつぶやきや直接お会いできた方で、自分が確認できた範囲で自分以外に4名の方にTシャツを着てきていただけて、本当に感激しました。特に、冬に入ろうかという11月の半ばの季節に(重ね着とはいえ)半袖Tシャツを着てきていただけるなんて思っていなかったので、正直びっくりしました。
この場を借りて、もう一度お礼をさせていただきます、本当にありがとうございました。
2枚だけ作った限定カラーTシャツの行方について
時系列は前後しますが、Tシャツが完成した少し後の9月14日、新宿でlainオフ会がありました。
初めて作ったTシャツが完成してちょっと浮かれていたのですが、前述の限定カラー(ネイビーとオリーブ)のTシャツを持ち込ませていただきました。
そちらで厚かましくも販売の告知と限定カラーの紹介をさせていただいたら、欲しいと言ってくれる方がいらして、オリーブ色のTシャツを一枚ご購入していただけました。
こちらも後日、クラブサイベリアで着てきていただけて本当に感謝です。
そして、もう一枚の限定カラー(ネイビー)については・・・
(ここまで長文を読んでいただいた方、お待たせしました!)
冒頭に触れた、プレゼント企画の賞品にすることにしました!
ビケちゃん(改造)Tシャツ プレゼント企画
人生初めての二次創作グッズ発売を記念してと、今年のserial experiments lainアドベントカレンダーに乗っかって、せっかくのクリスマスなのでプレゼント企画を行いたいと思います!
応募していただいた方の中から抽選で1名様に、「ビケちゃん(改造)Tシャツ ネイビー(限定カラー) Mサイズ」をプレゼントいたします。
片方だけ袋にパックしてあるのでわかりづらいですが、落ち着いた暗めのネイビーです。サイズや生地などのスペックは、こちらのブラックのTシャツと同じです。
今のところビケちゃん(改造)Tシャツのネイビーは世界に一着だけです!
応募方法が若干ややこしくて申し訳ありませんが、ぜひご参加ください。
プレゼント企画応募方法
応募期間
2019年12月2日~2019年12月24日 23:59
※アドベントカレンダーは25日までですが、プレゼント応募の締め切りは24日ですのでご注意ください
応募方法
①@96kuroguroのプレゼント企画ツイートをリツイート
②応募フォームからTwitterのアカウント名を送信
RTに加えフォーム送信でお手数おかけしますが、RTしてくれた人全員を漏らさず記録できる自信がないのでご容赦ください。
抽選日&当選者発表方法
2019/12/25(水)以降に、@96kuroguroから当選者にメンションを付けてツイートします。その後、当選者にはダイレクトメッセージ(DM)をお送りさせていただきます。
※以下の場合、応募無効または当選取消となってしまいますのでご注意ください
・キャンペーン終了までに該当の企画ツイートのRTを外した場合
・当選発表後、@96kuroguroからの連絡(メンション/DM)に48時間以内に返信がない場合
フォローの必要はありませんが、フォローしない場合はDMを送らせていただくため「すべてのユーザーからメッセージを受信する」等の設定にしてください。
・当選後、@96kuroguroにプレゼント送付先(宛名、住所、電話番号)を教えられない場合
・プレゼント送付先が日本国外の場合
もちろん、個人情報の扱いは十分に気を付け、プレゼントの発送以外に利用することはありません。
さいごに
初めて二次創作グッズを作って販売してみて
今回初めて商品を販売するという経験をして、正直めっちゃ怖かったです。どこかで失敗してすべておじゃんになるんじゃないか、偉そうにもの売ってるんじゃねえよと怒られるんじゃないか、作ったはいいけど全く売れないんじゃないか・・・。
でも無事販売することができて、実際に買って着てくれる方がいて、本当に嬉しかったです。
アンケートの回答数の半分も売れてなくて、今のところ全然赤字ですが・・・
作ってよかったです!後悔はありません!
ちなみに、自分の作ったものに対して対価を求めるのは、お金稼ぎというよりも自己承認の側面が強い気がします。
今回のTシャツは二次創作なので、原作の人気の下駄を履かせてもらってどうにかこうにかというレベルですが、それでもお金を出して購入してもらえるものを作ることができたという達成感は、思っていたよりも大きいものでした。(たとえご祝儀的な側面が強いとしても)
今回の教訓
アンケートの数は当てにならない(わかってはいたんです。。)
黒Sサイズは残り1枚、それ以外はまだ十分に在庫はあるので、よかったら買って来年の夏にでも着ていただけると嬉しいです。
ビケちゃん(改造)Tシャツ BOOTH販売ページ
Storage9696 - BOOTH何か置いてあります缶バッジ(円形マット)32mm 玲音&レイン ドット絵 lainTTL(¥ 150), ビケちゃん(改造)Tシャツ 黒【lainTTL】(¥ 2,270), ビケちゃん(改造)Tシャツ 白 【lainTTL】(¥ 2,270)
一応、12月まででBOOTHの倉庫サービスからは引き上げる予定です。
#ビケT は、BOOTHの倉庫保管料の関係で、年末迄で一旦引き上げる予定。
その後は、自宅発送や他媒体などで何かしら販売継続すると思いますが、送料や注文方法などが変わる可能性ありです。— くろぐろ (@96kuroguro) November 16, 2019
こちらの記事は、serial experiments lain Advent Calendar 2019 2日目に書かせていただきました。
プレゼント企画の案内は、もうちょっと↑の方に書いてあります。
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